2025.12.16

湯治のススメ

シマダグループの総合冊子「こめびと」第5号が発行。こちらの記事はスピンオフ版として、温泉特集をもっと深堀してご紹介いたします!

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温泉のコト
  1. 温泉のコト
  2. ありがとう!蔦屋平左衛門さん!
  3. 箱根の魅力
  4. 令和の人間、想像以上に疲れてます。

温泉のコト

日本人は、なぜこんなに温泉が好きなのでしょう。

 

温泉に行く習慣の始まりは奈良時代。
当時は貴族の療養や祈りの場でした。

 

それが江戸時代になると庶民へ解放され、
各地の名湯を格付けした「温泉番付」が登場。

 

温泉は一大エンタメへと進化します。

 

「諸国温泉効能鑑」 出典=東京大学総合図書館 < P10> 

 

ここで生まれたのが、湯治(とうじ)。

 

湯治とは、
温泉地に1〜4週間ほど滞在し、自然の力で病や心身の疲れを癒やす“湯の療養”。今の感覚で言えば、
スマホは見ない・予定は未定・成果はとくに求めない、かなり尖った旅のスタイルです。

 

やることはシンプル!

 

湯に浸かる。

ちゃんと食べる。

ちゃんと寝る。

 

箱根つたや旅館の底倉温泉は、まさにこの湯治向きなんです。

 

ありがとう!蔦屋平左衛門さん!

まずは、深く一礼させてください。

ありがとう、蔦屋平左衛門さん!


これはもう、温泉ファン代表としての正式なご挨拶です。

 

ああ、ついてこれてないみなさまごめんなさい!

 

底倉の湯が湧き出ているこの旅館の創業は江戸時代。

蔦屋平左衛門(へいざえもん)さんが、箱根の地で「蔦屋旅館」という宿を始めました。

 

 

歌川広重の浮世絵にも登場する

「底倉-箱根七湯図会」広重,佐野喜 嘉永5(1852)

出典=国立国会図書館デジタルコレクション

 

創業後、当時は明かりに本当の火を使用していたことで、

火事となり全焼してまた建物を新築するなど、改修を繰り返して今に至ります。

 

数々の当主を経て、私たちで十代目。これ、簡単に言ってますが、
途中で何度も「やめ時」はあったはず。

時代の価値観が変わる、旅のスタイルが変わる、派手な温泉地が脚光を浴びるなど、さまざまな時代を経て、それでも、蔦屋旅館は生き残りました。

 

戦国武将が刀傷を癒やしたという伝承も残るこの湯。

 

派手な武勇伝はありませんが、
静かに効いて、確実に回復させる。

 

流行らせるより、湯の実力を、きちんと見せ続ける。

 

それを400年以上も続けた宿、それが現在の箱根つたや旅館です。

 

1904-1923 箱根底倉温泉 蔦屋旅館 /当時の絵葉書より

 

 

 

箱根の魅力

箱根は、長い火山活動によって生まれた温泉の塊。

 

地面の下ではずっと地球が働き続け、その成果が、湯として表に出てきています。

 

江戸時代、箱根で知られていた温泉は箱根七湯。

 

湯本、塔之沢、堂ヶ島、宮ノ下、木賀、芦之湯、そして底倉。
選ばれし七つの湯が、箱根の看板でした。

 

底倉全図 

底倉温泉の湯宿として蔦屋(つたや)、萬屋、梅屋、仙石屋。

現在もなお残っているのはつたやのみ。

 

箱根七湯を楽しむための当時のガイドブック

「七湯栞 10巻」弄花 纂緝ほか 文化8(1811)

出典=国立国会図書館デジタルコレクション

 

ところが時代は進み、掘っても掘っても、湯が出る。

 

結果どうなったかというと、

現在、箱根で確認されている温泉は30以上。
7どころではありません。
完全に増殖しています。

 

江戸の旅人が湯治のために訪れた箱根。

令和では、国内外から人が集まる日本を代表する温泉街となりました。

療養の地から、観光・文化・癒やしの総合地帯へと進化しています。

 

平左衛門さんの創業当時、箱根がここまで大きくなるなんて、想像していなかったでしょう。

 

なので改めて、もう一度。ありがとう、平左衛門さん。

この物語、まだちゃんと続いています。

令和の人間、想像以上に疲れてます。

11月26日 いい風呂の日。

 

この日が、箱根つたや旅館の開業日。……これはもう、偶然という名の必然でしょう。

 

令和の私たちは、忙しすぎます。
休む予定を立てるために疲れ、癒やされる前に次の通知が鳴ります。

 

そんな現代に、箱根つたや旅館が提案する旅は、
何もしないために泊まるという選択。

 

観光地を制覇しなくていい。

チェックイン後、予定を入れなくていい。

湯に入って、ぼーっとして、また湯に入る。

 

江戸時代の人がやっていた「湯治」は、
実は一番未来的な休み方なのかもしれません。

 

平左衛門さん、あなたがつくったこの宿は、
令和でも、ちゃんと人を元の状態に戻しています。

 

ひっそりと、確実に、
今日も底倉で。

 

※こめびと5号デジタル版はコチラから

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