建築と不動産の融合を実践する会社
シマダグループでは建築設計だけでなく、土地の仕入れや運営までトータルの時間軸で建築というものを見られるのが面白そうだと感じ入社しました。建築・不動産以外にも介護×旅行など斬新な発想の事業を展開していることもまた魅力的でした。前職の設計事務所の施主であった不動産会社は、エリアマネジメントや建築も介在させるアイデアを発信しながら街の文化を創造する企業であると標榜しており、実際に刺激的な事業を展開していました。これが不動産というものに興味を持ったきっかけかもしれません。
「建築」と「不動産」は近いようでいて、実はかなり遠い存在。SAPの場合は都市の中で、この二者の融合を先駆的な試みを通して実践しているように思えました。単純な建築設計でも不動産でもない、アマルガム的な会社であるというところに興味を覚えましたし、それを意識的に発信しているところに共感しました。
酒造と建築という二足のわらじ
現在は、建築設計の傍らでシマダグループの新規事業である酒造に取り組んでいます。酒蔵の経営、一見突拍子もない発想に見えますが、シマダグループはもともとお米屋さんから始まり現在も米を用いた飲食事業も展開している企業体ですので、日本酒造りという「米文化の粋」に思いが込められるという意味で、パズルのピースがひとつ埋まったような感覚を持ちます。
個人的には、飲酒の習慣がなく、それこそ全く縁のなかった日本酒という世界ではありますが、「多くの人々とモノを造り、世に問う」という点では建築と同じだろうと楽観的に取り組んでいます。社外的には極端に映り、奇妙に思われるかもしれませんが、シマダグループ内では「多能工」が尊重される企業風土がありますので、あまり違和感はないようです。
ちょっと、そこの醤油とってくれない
ある日、会長から「社長やってほしいんだよね」と。蔵元就任への話は、まるで「ちょっと、そこの醤油とってくれない」くらいのトーンで言われました。一つの事に捕らわれず、自由自在なものの見方をするこの会社らしい考え方ですが、入社時に自身が酒蔵の蔵元になるとはさすがに想像もしていませんでした。それがまたこの会社の面白さでもあり魅力でもあります。
日本酒を飲むのは一瞬ですが、その時に神代からの酒の歴史をも飲んでいることを楽しんでもらう。お客様にいい時間(とき)や豊かな時間(とき)、心地よい時間(とき)を過ごして頂くため、蔵では試行錯誤の日々を過ごしています。飲む方には顔を思い浮かべながら、お客様に手紙を書くつもりで酒を醸しています。
建築と日本酒ほど振れ幅が大きくはありませんが、少し前には元々趣味だった写真撮影を通して、旅行事業(オンラインツアー企画)にも携わっていました。シマダグループ内で動画を撮ってみようという話になり、撮ってみるとこれが面白い。動画の知識は建築・不動産でも物件紹介やプロモーションにもちろん使えますし、旅行事業にも役に立つ。そういう世界の広がり方を実感しています。
狭義的でない、建築を楽しみたい人へ
敢えて否定から申し上げると、狭義の建築設計だけやっていたいという人に、シマダグループは向かないかもしれません。むしろ建築にハマっているのに、自分が何をやるべきなのか常に迷っている、というくらいの人の方が面白く感じられるのではないかと思います。
一言でいうと「建築とつながる何か」にこそ興味がある人、でしょうか。
一見、別業種のグループ社員が同じフロアで立ち話しながら笑っている、そんな光景を刺激的だと思う人にはお勧めの会社です。
「建築設計に特化することよりも、それを縦糸にして、横糸として何か新しい組み合わせを探る作業の方が面白いかもしれない。」そんな事を漠然と考えていたら、気が付けば今の立場で仕事をしていました。建築設計「だけ」ではなく、何かそれを活かしながらも他のことと組み合わせて新しいことができる。「だけ」ではないこと、企業にとっても重要だなとつくづく思います。