2025.03.18

実るほど頭を垂れる稲穂かな

まだ水も引き入れぬ乾いた田んぼの傍らに、複式ショベルで穴を掘る男たちの姿が。1メートルにもおよぶその深い穴に突き立てられた看板には「シマダグループ研修圃場」の文字! みなさん、コレ、何と読むか分かりますか?

看板設置
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Summary
  1. 田水張る
  2. 露にぬれつつ
  3. 新米ですが

田水張る

2024年春、シマダグループ内に数ある部活動(通称:ヨコイト)の中でもかなりの異色、『コメコメ倶楽部』がその産声をあげた。活動拠点は、神奈川県伊勢原市の田中ファーム。古くから雨乞いの信仰地として「雨降山(あふりやま)」と呼ばれた丹沢大山の麓、吉川醸造のある神戸(ごうど)に近い、日向地区に位置している。

 

ファーム俯瞰写真

 

お米作りを教えてくれるのは、ファーム代表の田中健さん。育苗から収穫まで農薬・化学肥料は一切使わず、主にコシヒカリ、餅米、古代米を栽培。近年は、吉川醸造で生じる酒粕を肥料として取り入れるなど、新たな試みを重ねながら、食味を追求している農家さんである。

 

田中ファームさん

 

 

記念すべき第1回目の活動には、子どもを含め13人が参加した。入水し代掻きを終えた田に、1株1株ていねいに苗を植える。横一列に並び、ロープのガイドに合わせて真っすぐと進んでいく・・・はずなのに、何故かだんだん斜めになっているような。(汗)

ぬかるみの中で歩みを進めるのは想像以上に大変で、土に沈んだ自分の足を引き抜くのも一苦労である。

 

私たちは研修として手植えを体験させてもらったのだが、もちろん通常は主に機械を使用する。・・・という事で、田植え機の操作にもトライ!

いったいさっきまでの苦労は何だったのか⁉と悲しくなるほど、アッと言う間に植え終わる。

 

田植え

 

※田水張る(たみずはる):土の状態だった田んぼに水を流し込んで水田にすること。俳句においては初夏を表す季語である。

露にぬれつつ

部活と言っておきながら、その活動頻度はかなり少なく、次に集まったのは秋だった。我々が顔を出さないこの間も、浸水管理や除草など、田中さんの手によって大切に育てられていた。美しく成長した黄金色の稲穂が風に揺れるさまは、なんともたおやかである。

 

稲穂

 

稲刈りは2日に分けて行われ、総勢42名が参加。鎌を片手に腰をかがめ、1株ずつ手刈りをしていく。刈り取った稲は5~6株ずつまとめて麻紐で束ね、稲架(はざ)に掛けて天日干しに。

 

1日目の稲刈りは暑いぐらいの晴天で体力の消耗が著しかったが、2日目は逆に小雨に濡れながらの作業となった。

 

稲刈り

 

 

「秋の田の仮庵の庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ」

 

ふと、百人一首の一番歌、天智天皇の句が頭に浮かんだのだが、これは我々のように農作業中に雨に濡れたのではなく、泊まりで見張り番をしているときに夜露に濡れたと唄っているものである。秋の田園の風情を感じる名歌であり、その余情は絵画で言うところのミレーの「晩鐘」にも匹敵するとかしないとか。。。

 

皆で秋の雨に濡れながら、その風情を愉しみつつ、心地よい疲労と収穫の喜びを味わった。

 

稲刈り2

新米ですが

今季の収穫は玄米重で、コシヒカリ68㎏、古代米94㎏、合計162㎏。

 

コシヒカリの一部は、12月の全体朝礼で社員に「おむすび」として提供された。その数なんと、200個!

 

コメコメ倶楽部の部長をはじめ、Bar & Restaurant COCONOMAのシェフ、島田宇平商店の店長、介護施設 ガーデンテラスの調理士など、シマダグループ内の有志が早朝(深夜?)から準備にあたってくれたのである。素晴らしきグループの総合力!!

 

更に、前年度に収穫された古代米で仕込んだ吉川醸造の「おはなさけ」も振舞われ、朝からちょっぴりいい気分!?

 

全体朝礼おむすび

 

実はこの日、ファーム代表の田中さんがご登壇。ご自身の取り組みや、収穫したお米に関してお話しを伺った。おむすびを食べ、日本酒を飲みながらの学びの時間は、何とも贅沢なひとときである。

 

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そして、2月に実施された「シマダの子ども食堂」では、地域の子どもとそのご家族に

おむすびプレートと自家製ポン菓子をご提供。

 

おむすびプレート

 

私たちの収穫した新米は、たくさんの笑顔へと変わった。

 

子どもたちの笑顔

 

 

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仕事や芸事などにおいて、それを始めたばかりで不慣れな人のことを「新米」と呼ぶが、一説によると“白いお米のようにまだ何色にも染まっていないこと”の比喩だとか。

 

人生を積み重ねても、稲穂のように頭を垂れ、新米の心を忘れず、きよく謙虚でありたいなぁと願いつつ、次の田植えに想いを馳せた。

 

No rice, no life.   To be continued…

 

 


(冒頭の質問の答え:圃場=ほじょう/田や畑、果樹園、牧草地など、農作物を栽培するための場所のこと)

 

 

 

コメコメ倶楽部の活動は、シマダグループのブランド冊子「こめびと」第3号にも掲載しております。

雨降山の水から授かるお米と酒のテロワール

 

「こめびと」のバックナンバーは電子ブックにて全号ご覧いただけます。

https://shimada-komebito.actibookone.com/

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