潜入レポ:準備の裏側を覗き見!
事務所に足を踏み入れると、不安げに炊飯器をのぞき込む人が2人。
「え、なんか固いかも…」
「10万円するんでしょ、この炊飯器」
こちらに気づくと、あら、いらっしゃい!と快く迎え入れてくれた。
私がおじさんAですー!と大きな声で明るく挨拶してくれたのはシマダリファインパートナーズの若狭さん。4月とはいえ、小雨が降ってまだまだ肌寒い。それなのに、おじさんAはオレンジのTシャツ1枚で溌剌としゃもじを振り回している。
「こっちがおじさんB。ちなみにA、Bっていうのは血液型ね。分かりやすいでしょう」
おじさんB、にこやかに軽く頭を下げる。
「で、そっちがおじさんH。春信のHね。」
おじさんHこと、戸澤(晴信)専務はそんなの聞こえていない様子。
「今日手伝ってくれるんだよね、よろしくお願いします」
とスーツ姿でふらっと入ってきた。
簡単に自己紹介を済ませると、ちょっとこれ試食してみてよー、と炊飯器の前に通された。
「この炊飯器、子どもたちのためにって会長が10万円出して買ってくれたんだけど、炊飯の途中でブレーカーが落ちちゃったんだよ!」
まるでお釜で炊いたような、世界一の炊きあがり…になるはずだったらしい。
おじさんAとおじさんBは諦めきれずに交互に食べ比べして
「んー、やっぱり固い!!」と嘆いている。でも、なんだか楽しそうだ。
皆様の手を借りながら
子ども食堂とは、地域の子どもたちや子育てで忙しい保護者の方々を対象に食事を提供する取り組みのこと。コロナ禍ということもあり食事はお弁当にして持ち帰っていただいている。子どもは100円、大人は300円で事前予約制。
なんでそんなに安くできるんですか、と準備の合間に聞いてみると
「今回使う野菜は、畑を持っているオーナーの方からいただいたんだよ」と教えてもらった。
会社で子ども食堂をやりたいと担当が話したところ、それならばと野菜をどっさり提供してくださったのだ。この日のために出荷せず取っておいてくれたらしい。(本当にありがとうございます!)
給田の高橋様
厨房設備がない事務所の代わりに、お弁当の調理は「メニューのないレストラン・マトイル」https://www.matoil.jp/ が初回の開催からずっと協力してくれている。
これはおじさんH(戸澤専務)のボランティア活動、食物アレルギーの子どもを支援するNPO法人「アレルギーっこパパの会」のつながりがあってこそ。
前回のメニュー開発はシマダグループの飲食事業を担うCOMPHOhttps://compho.jp/
と連携。米を炊いたり麺を茹でたりは、社内ボランティアが事務所で行う。回を重ねるにつれ、採れたてのお野菜を事務所の一角の即席厨房でつくるようになった。
改めてあたりを見渡すとパソコンや書類が並ぶ会社の事務所で、色とりどりの食材や大型の調理器具は異色を放っている。人とのご縁に恵まれ、グループ会社ならではのチームワークがあるからこそ、この子ども食堂が成り立っているのだと分かる。
この日は水曜日だった。もちろん仕事はしなければならないので、準備はボランティアメンバーに任せながらパソコンに向かっている社員たちだが、合間を縫っては「調子どう?」と見に来る。外出のついでと言って、「アルミホイルまだ必要?買っていこうか?」と電話をくれたりする。
おじさんHこと戸澤専務は、子どもたちがもっと喜んでくれるようにと事務所の奥で仮面ラ〇ダーに変身真っ最中だった。変身モードになるとちゃんと光る。緩衝材をうまいこと組み合わせ、自分の骨格に合わせてカスタマイズされた一式だそう。本気すぎる。
夕暮れの千歳烏山で思うこと
夕方になり受付が始まると、親子連れが続々とやってくる。
仮面ラ〇ダーと一緒に写真が撮りたいです、と勇気を出して来てくれた子や、今にも泣きだしそうな子もいる。お弁当を予約していなくても、その盛り上がりように釣られていらっしゃる方もいて、事務所は賑やかだ。
「いつも美味しいお弁当助かっています」
「次はいつですか?」
との声に心が温まる。お話を伺うと保育園や学校のママ友同士でこの子ども食堂が少しずつ広まっているらしく、回数を重ねて地域に根付いてきた実感もあるという。
(ちなみに、次回の申し込みはインスタグラム
https://www.instagram.com/shimadarefinepartners/?hl=ja
またはシマダリファインパートナーズの公式HPhttps://shimada-refine.co.jp/
から応募フォームが更新されますので、近隣にお住まいのお子様がいらっしゃるご家庭はぜひ、こちらから予約していらしてくださいね。)
炊飯器の使い方をマスターし、皆様には美味しいお米を提供することができました
そもそも、不動産業は地域との繋がりを大切にするビジネス。
創業から60年経った今でも、シマダグループ創業の地・千歳烏山で親しまれる企業であるために、ここで育つ子供たちにいい時間を届けたい。そんな想いが子ども食堂の実現につながった。この活動を通して多くの人に知ってもらえるならこれ以上の喜びはない、とおじさんA、Bはあちこち忙しそう。
1日の中で“ご飯を食べる”時間はほんの1時間にも満たないかもしれない。でも、つかの間の団らんがほっと一息、「いい時間だ」と感じてもらえたのなら、それは私たちにとって何よりのエールになる。