2018年に1月1日から年間40万円の積立投資信託を20年間非課税にする「つみたてNISA」が開始された。正式名称は「非課税累積投資契約に係る少額投資非課税制度」。取り扱い金融機関は2022年4月時点で597社。業態は証券会社・銀行・信託銀行・信用金庫・信用組合・投信会社・農業協同組合・労働金庫・保険会社と多様に参加している。商品は金融機関が自社顧客向けに調整し、ネット証券などは網羅的に百本以上の商品を取りそろえ、銀行やその他の金融機関はおおむね十本前後の商品を選定する。
私の投資経験
皆さんは「投資」にご興味はあるだろうか。
私は20年ほど前にひょんなことから「株」をはじめた。
最初はおそるおそるやっていたのだが、地合いの良さもあり結構な儲けがでた。
調子に乗った私は「株」にのめりこむ。仕事そっちのけでドコモのiモード(※1)をちゃかちゃかと開きながら市場の動きに一喜一憂し毎日を過ごす。気が付けば驚くべき金額が私の証券口座に並んでいた。“これはもう会社を辞めて、デイトレーダーで食っていけるかもしれない”。
“将来的には実家の古くなった家も「株」で建替えられる”。
そんな能天気な事を考えていた時にライブドア社の堀江社長(ホリエモン)が家宅捜査を受けたニュースが飛び込んできた。いわゆるライブドアショック(※2)というやつだ。株式市場は急落。新興市場のIT株や信用取引(※3)に投資をしていた口座残高はみるみるうちに少なくなった。焦った私は怪しい仕手株(※4)に手を出す。ネットで「未公開情報あります!」「プロがおすすめするこの銘柄!」などなどを読み漁った。しかしながら当然うまくいくはずもなく残高は減る一方。
「ざわ・・・ざわ・・・・。」福本伸行先生の「賭博黙示録カイジ」(※5)に登場する擬音が毎日耳の中に響く。最終的に祖母が小さい頃から私名義で積み立ててくれた貯金通帳にまで手をつけ、その金額が底をついたところで自分は投資にむいていないと悟った。
最初の成功はまさに“ビギナーズラック”。
私に残されたものは、わずかな通帳残高と大きな後悔。そして浮かれて近所のダイエーで購入した狭い部屋には不釣り合いな大きな冷蔵庫と電子レンジだけだった。
(※1) NTTドコモ世界初の携帯電話へのIP接続サービス 2026年サービス終了予定。
(※2) 2006年1月。証券取引法違反でライブドア本社を東京地検が強制捜査。
翌日から始まった株式市場の急落。
(※3) 素人が手を出しちゃいけないヤバイやつ。
(※4) 素人が絶対手を出しちゃいけないヤバイやつ。
(※5) 映画 主演:藤原竜也 モノマネ芸人Gたかしが「床がキンキンに冷えてやがるっ!」ってセリフが有名。なお、実際藤原竜也はこんなセリフを言っていない。
一喜一憂しないこと
それから10年以上、私は「投資」というものから距離をおいてきた。
ところが突如「老後2,000万円問題」(※6)が沸き起こる
どうやら老後は2,000万円赤字がでるらしい。
ここで将来のためにと「投資信託」(※7)と「NISA」(※8)をはじめてみた。
月々の給与から毎月40,000円の引き落とし。
以前「株」で豪遊していた時から比べるとささやかなものだ。最初は投資した元本から目減りした日々が続いたりもしたがそれでも、1銘柄に一喜一憂しなくてすむ。
ここで神風が吹く。そう、米国の好景気だ。トランプ大統領の就任後、米国の景気がよくなり投資をしていた米国関連の金融商品が爆上げしたのだ。まさに「ゴーゴー!トランプ!」。
“もう少し投資額を増やしてもいいんじゃないか”
心に悪魔がささやく。いや、過去の失敗を忘れるな。毎月変わらぬ金額を長い期間安定して投資する事に意味があるんじゃないか。寸前のところで思いとどまる私。
すると、今度は「コロナショック」がやってきた。こちらも驚くべき速度で投資金額が目減りしていく。しかしながら今回は長期で分散積立をしていたため、大きなダメージを受ける事はなかった。
(※6)麻生太郎副総理兼金融大臣(当時)の不適切発言。
(※7)株の詰め合わせパックみたいなもの。
(※8)投資での儲けに税金がかからない仕組み。
投資はギャンブル!?
個人的な感覚だと投資は「短期的」にみるとギャンブルに近い。
はっきりいってパチンコや競馬と同じだ。ただし「長期的」にみると話は違ってくる。
なぜなら世界経済というのは年率3~4%程度の極めて安定した成長速度で右肩上がりで推移している。
理屈としては世界の金融商品に長期的にバランスよく分散投資をすれば、放っておいてもそれなりの利益がでる計算になる。「バイ・アンド・フォーゲット」(買ったら忘れろ)だ。ドナルド・トランプが大統領になろうとコロナショックがおきようとも長いスパンでみるとあまり影響はない。
もちろん明日「北斗の拳」(※9)のように核戦争によって文明と人々の秩序が失われ、モヒカン刈りの悪者がバイクで「ヒャッハー!」と叫けび、「お前はもう死んでいる」とか言わる世界で争いが繰り返されたり、「進撃の巨人」(※10)みたいにある日突然巨人が人類に攻め込み、調査兵団に入り心臓をささげなければいけない可能性もゼロではない。そんな時は残念ながら投資など何の役にもたたない。潔く諦めろ。
(※9)伝説の暗殺拳”北斗神拳“の伝承者・ケンシロウの生きざまを描くハードボイルドアクション。
(※10)圧倒的な力を持つ巨人とそれに抗う人間たちとの戦いを描いたダークファンタジー。
まずはちょっとした勇気
以上を踏まえて、シマダグループは福利厚生の一環として「職場つみたてNISA」を導入している。
投資の基本である「長期」「積立」「分散」を実際に体感することが、社員に良い影響を与えてくれると期待しているからだ。
しかも毎月5,000円の奨励金がでる。もらえるものは少しでももらっておこう。
若い世代は将来の備えとすることができ、ベテラン社員にとっても勉強できる良い機会だ。導入に関しても優しくレクチャーしてくれる。
ちなみに毎月5,000円を20年間積み立てたら年利6%で231万円になる。
将来のマイホームの頭金になる程度は貯まるだろう。
え、“お勧めの銘柄や商品はあるか”って!?
そんなのは自分で探してくれ。
今の世の中TwitterやYouTubeを検索すれば情報は山のようにでてくるし、シマダグループには詳しい人も結構いるが、投資はあくまでも自己責任だ。
「手続きが面倒くさい」とか「損をする」「投資は怖い」と言わず、「まずはちょっとした勇気」で職場つみたてNISAをきっかけに投資に触れてみよう。