今回の見どころ
テーマは「Well-being(ウェルビーイング)」。編集部員の私も毎回楽しみにしている辻仁成さんのエッセイをはじめ、旅行事業の最新トピックや、石垣島の美しい自然と独特の島文化など、これまでのバックナンバーよりも取材多め・文字数多めでお届けしております。ちょっとだけ中身を紹介しますね。
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行こう、あきらめていた人と。大阪万博でのユニバーサルツーリズム
万博が始まる前の3月下旬。テレビでは、入場者数の予想や未だ完成していないパビリオンへの懸念が連日のように報道されていました。
弊社の介護施設「ガーデンテラス」のご入居者Mさんは、92歳の元設計士。太陽の塔が象徴する昔の大阪万博では、パビリオンの設備設計に携わっていました。当時37歳、働き盛り。
「テレビでは準備が終わらない!と騒いでいるけれど、実は55年前も同じでした。始まって、しばらくしてようやく評価されるようになったから、ニュースを見てもあまり心配はしていません(笑) 」

「やはり気になるのは大屋根リングですね。あれはもう、建造物というより土木の規模です。私の時代でも閉幕後の建材や設備の行き先を決めるのは大変でしたから、今後どうなるか注目していますよ。」
取り壊される前にこの目で見れたらいいけれど……とこぼすMさん。
万博に行きたいけれど、介護施設に入居していて外出が難しい、という方は他にもたくさんいらっしゃるはず。これまで介護施設向けの旅行サービスを提供してきた弊社・東京トラベルパートナーズ株式会社ですが、今回はMUIC Kansaiとタッグを組んで「LET’S EXPO」という万博に特化したユニバーサルツーリズムを発足しました。
こめびと本誌では、私たちの想いや現場からのレポート、昔の万博を振り返る”回想脳”の特集などたくさんのコンテンツを盛り込んでいます。
シマダグループのホテル、高齢者施設、島田宇平商店、蔵元Sake&Galleryなどで配布しております。電子ブックもありますよ!
ヤギの色を変えてください
さて、発行に至るまでのウラガワをちょっとだけご紹介いたします。
ポスターやチラシは得意でも、雑誌づくりの経験は少ない私たち。発行の半年前から、取材のネタになりそうなところには必ず顔を出しました。参考文献を読んでは取材を重ね、ひとつの特集に何パターンもデザインを作って検証していきます。


左:全てこめびとのデザイン案
右:入稿前は時間との勝負!
企業の広報紙と言ってしまえばそれまでですが、日頃からお世話になっている取引先の方にお渡しする場合もあれば、ホテルのゲストがたまたま手に取ってくださることもあります。多くのゲストは今夜泊まるホテルの運営会社なぞ知らない方がほとんどでしょうから、どんな方がどんな状況で目にしても、「なんだか面白そう」とパラパラめくりたくなるような楽しい誌面を心掛けました。
それぞれの事業部や担当者が見ているものと、編集部が光を当てたいポイントがズレることもあります。事業の数がそもそも多いので、度重なる確認が必要な場面も多く、原稿制作やデザイン以外の”調整”がかなりの時間を要します。でも、これも欠かせない大切な仕事のひとつ。発行の一か月前にもなると、毎日がドタバタ劇です。
「p16のイラストのヤギ、色変えてください!」
「え、はい、でもなんで」
「石垣島では茶色のヤギはペット用。白は食用!」
また別の日。
「この写真、裸で踊ってる人がインパクトありすぎます。もっと小さく配置して」
「……そういえば本人に掲載許可は取ったけど、”裸を載せる”とは言ってない気が」
「……許可とって!!」
(さとみ母さん、爆速対応ありがとう!!)
修羅の編集道をゆく
誌面が出そろうと、次は校閲です。
「SAKE Bar Hotel 浅草」なのか「SAKE Bar Hotel浅草」なのか。(半角ツメの違い)
「ダックスフンド」と「ダックスフント」正しいのはどちらか。(どっちも正解だそうな)
時には広辞苑を引っ張り出して語源を追い、ちょっと良い紙に試し刷りしては色の乗り具合とバランスを見ていきます。これがまた果てしない作業です。体力・集中力・忍耐力のすべてを使い果たして夜遅くまで仕事をし、家に帰ればパタリと眠って起きて出勤、を繰り返すギリギリの日々。入稿まで、あとちょっと!
残業しすぎて上司に修行僧と呼ばれるように
もの好き上司が、こめびとにちなんで米粒の被り物を買おうとしてくる
(忙しいんだからっ!!)
(可愛いけども!!笑)
ボスからの差し入れ。お菓子とかじゃありません。気合!!
デザインは破壊と構築
そんなこんなでようやく完成した「こめびと」第4号。
修正に修正を重ね、寝不足が続いてしんどくなってきた時、心の中にはこんな言葉がありました。
「デザインは破壊と構築です」
(制作パートナーS社のY姐さんのメールより。数字や成績では測りにくい仕事だからこそ、好みや気分で選ぶのではなく、たくさんのアイデアとABテストを通してよりクオリティの高いものに磨いていくという意味だと解釈しています。)
グループ内外問わず、本当にたくさんの方にご協力いただきました。この場を借りて感謝申し上げます。いろんな検証を通して残念ながら破壊された(本誌には載らなかった)デザインをこっそりどうぞ。