きっかけは、ある一言
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14階建ての高さがあるホテル&レジデンス六本木の外観写真を、全体のバランスを見ながらトリミング。
レイアウトの都合上、枠に収めるには上下どちらかをカットしなくてはいけない状況でのこと。
自分は圧迫感を抑えつつ高さを強調したいと思い、上部を残して下部を少しカット(写真左)。印象的な部分を見せる構図を選びました。
ところがパンフレットの依頼者、不動産開発・建築事業のシマダアセットパートナーズ(SAP)のSさんに見せたところ、
「下はなるべく切らないで。不安定に見えるから」
と一言。
「あ〜…確かに!」

写真左のように、上部に少し余白があると全体はスッキリしますが、ホテルの入口部分が少し切れていることで、なんだか落ち着かない印象に。
一方、写真右、Sさんの言うように入り口部分を残すと、建物の安定感が増した印象に。
下部と上部どちらをカットするかで、自然と目につくポイントが変わりませんか?
Sさんの一言をきっかけに、建築物を商業的に撮影するときの考え方を調べるようになりました。
趣味で建物の写真を撮る際はスナップ感覚で撮ることが多いので、通行人が写り込まないよう無意識に下の部分を切ってしまうクセがあったようです。

こちらの「神楽坂レトロなbarとホテル」も、写真右のように下部を残すトリミングに変えたことで暖簾がこの建物の「顔」として目に入りやすくなりました。
建物全体を見るというより、まず入口に視線が向かう印象にしています。
「キレイ」より「伝わる」が大事
不動産の資料用の写真というと「広く見せる」「明るく撮る」というキレイさを求めるイメージが強いかもしれません。もちろんそれらのポイントも大事ですが、実はそれ以上に重要なのが、その建物・空間がどういう場所なのかを正しく伝えること。
たとえば外観写真なら
・建物が地面にしっかり立っていること
・入口がどこにあって、どう入るのかが分かること

こうした情報が無意識のうちに見る人の安心感につながるのだと思います。デザインする側としては紙面映えやトリミングのしやすさを考えがちですが…。
「これを初めて見る人はどう感じるか?」
と一歩引いて考えなければいけませんね。
構図は「斜め」派?「正面」派?
また、シマダの物件写真を見ていると構図が空間の印象を左右していると感じることが多くあります。代表的な構図を2つご紹介しますね。
①斜めから撮る=奥行きが伝わる
客室やロビーなど、空間を見せたい場合によく使われるのが少し斜めからの構図。 壁と床、天井が同時に写ることで、「この部屋、広そう」「奥まで続いている感じがする」 と自然に奥行きを感じてもらえます。
②正面から撮る=かっこよさ・強さが出る
一方でホテルのファサード(建物正面のデザイン)や印象的な内装は、 シンメトリー(左右対称)に正面から撮るとぐっと強さが出ます。高級感、安心感、きちんと感。シマダの建築物でも正面構図がとても映える写真がたくさんありますね。

bar hotel箱根香山のファサード

補助線を引くと、シンメトリーになっていることがわかる
こうした構図を活かすためには、ノイズとなる要素をできるだけ減らすことも大切です。
・トリミングの際に、平行・水平がきちんと取れているか。
・消失点(立体物の見え方を表現するために置く点)が自然に中心へ収まっているか。
細かい部分ですが、こうした積み重ねが写真全体の安定感につながっています。

ガーデンテラス千歳烏山の内装

こちらもシンメトリー
ダッチアングル(水平を取らなかったり)、左右非対称にしたりすると…なんだか気持ち悪い。
構図ひとつで伝わる印象がこんなに変わるのは面白いですよね。
写真とデザインの役割
建物や空間を正確に伝えるために、写真をどう撮るか、どうトリミングするか。
デザインによって、写真の印象は大きく変わります。
情報をちょうどよく整理して、依頼主の意図通りに渡すこと。
その積み重ねが「なんとなくいい」「見やすい」といった印象につながっていくと考えています。
ちょっとした工夫で写真の印象はぐっと変わります。
編集後記
入社して数ヶ月あまり。いつも前向きに一生懸命仕事に取り組む、Eさん。
プライベートでは、よなよな麻雀に勤しんでいたり、推しのライブに落選してがっかりしていたり、人間味にあふれた魅力的な方♪
そのバイタリティーは、もちろん仕事場でも発揮!
とある商品撮影のディレクション中
「こっちの方がいいかな~。やっぱりこっちかな!これにしよう!」
と、より良いものを追求しながらも、素早くカメラマンさんに指示。
予定時間を大幅に繰り上げ撮影を終了する姿に、私は尊敬のまなざしを注いでいました。
デザイナーって、依頼者の想いを想像以上のカタチにする、とてもクリエイティブなお仕事。
Sさんのぽろっとこぼした一言からも、気づき、勉強する姿勢から、デザイナーとしての感受性の高さが垣間見えました!
きっとその鋭い感性が仕事に結びついているのですね!
実は、この記事においても最初のテーマから練りに練っていただき、さらには、こちらが何も言わずとも、使用する写真をデザインしていただきました。
Eさん、改めてご執筆いただきありがとうございました!
みなさん、Eさんのこれからのご活躍にも注目です♪
……推しのライブ、次こそは当たりますように…!
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