「え、米米CLUB聞いたことないの?!うそでしょ?!」
ジェネレーションギャップに驚く時の大人は
月日が経つ速さを嘆いているはずなのに、
どうしてあんなに嬉々としているんでしょうか。
筆者は小さい頃そう疑問に思っていたのですが
先日、現役高校生がドラマ『マルモのおきて』を知らないことにびっくりしまして
「マルマルモリモリ知らないのぉ~?!」と
テンション高めではしゃいでから、ふと我に返りました。
こんにちは。
シマダグループの介護事業部シマダリビングパートナーズで
介護職員として働いています、そんちゃんです。
皆様の生活のふとしたことを、
介護と重ねて考えてみるコラム第二弾をお届けいたします。
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天才子役と呼ばれた芦田愛菜さんが
「マルマルモリモリ♪」と元気よく踊っていたのも、今から10年前のこと。
今年誕生日を迎えて17歳になった彼女と
建築家・安藤忠雄さんの対談をたまたま目にしたのですが
あまりの賢さand格好良さに非常に驚いたのでここでご紹介させてください。
「私は学校の授業を通し、あくまで教科は枠組みであると感じています。
教科それぞれを単体で捉えるのではなく、たとえば古典を理解するには歴史の背景を知っていたほうが面白いですし、 歴史も日本だけでなく世界全体を学ばないと分からないことがあります。
数学と物理がつながっているのだと気づくと、そのつながりが勉強の面白さだと思うようになりました。… つながりがあるからこそ、まんべんなく勉強をしなくてはいけないという意味も見えてきました。」
―――『Casa BRUTUS』2021年5月号
あくまで教科は枠組みであり、つながりがあるからこそまんべんなく勉強しなくてはならない。
筆者が高校生だった頃は、
「次の定期試験が終わったらこのプリント類は全部捨ててやる!」としか考えておらず、
このつながりには全く気付いておりませんでした。
でも、介護とは全く関係のない学生生活を送ってきたはずの筆者が
介護の世界に飛び込んだ今、たしかにそうかもしれないと
今までの自分の経験と介護もつながっているのかもしれないと
確信の光が見えてくるようになりました。
介護施設と病院の大きな違い、ご存じでしょうか?
筆者の優秀な先輩方いわく
病院・・・病気の治療
施設・・・病気の治療+精神的なケア
病院の機能に加え、介護施設は体も心も満たして住み慣れた場を目指しているのだと
一緒に働く看護師から教わりました。
高齢になると体力が落ちることに加えて
不要不急の外出自粛のご時世ですので、
ご入居者の皆様は厳しいステイ(ナーシング)ホームな日々を強いられています。
建物ひとつで生活を完結させなくてはならない介護施設は
自分が住む家、病院
それから、
レストランとして
カフェとして
カラオケボックスとして
図書館として
体育館として
お祭り会場として
たくさんの面を持つことで、ご入居者の生活をより豊かなものにしています。
したがって、それらを支える私たち介護職員の
主な仕事である介護が『♪浪漫飛行』なるA面だとすると
音楽やスポーツの知識、選書のセンスなど
一見介護とは縁のないように見える枠組みや
言葉にならない端々の経験が
表題曲ではないB面として、作品をより深いものに仕上げる要素になり得るんですね。
自慢ですが、筆者の働く施設はそんなB面を持つスタッフさんがたくさんいます。
コーラス、アロママッサージ、クラフト、フラワーアレンジメント、お茶道、三線etc…
大げさだと思われるかもしれませんが、このB面が
寝たきりのご入居者が部屋から出てくるきっかけになり
気難しくめったに人と話さない方が笑顔を見せて
パーキンソン病で動かなくなった手足を躍らせるのを
筆者はこの目で見てきました。
それは、お風呂に入れるのが上手いだとか、勉強して介護福祉士の資格を取っただとか、
A面である介護の部分をいくら磨いたとしても辿り着けなかった光景であると思っています。
(もちろん、それありきで成立していることは言うまでもありません)
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漫画が大好きだった手塚治虫が
医師免許を持っていたからこそ『ブラックジャック』を書き上げたのは有名な話ですが
介護に関わらず、その道を行くと決心したとき
その枠組みに囚われず、たくさん寄り道してみれば
後からつながりが見えて来るかもしれないなと
ちょっと飛躍しすぎましたが、
そんなことを芦田愛菜さんに教えられた気がしました。