【1日目・6:00PM】チェックイン~温泉
エントランスを抜けると広がる「the bar」。箱根の山並みがbarの背景。最初から非日常。
エントランスはこちら。日常との境目。
チェックインは18時からbarで。チェックアウトは14時。20歳未満は宿泊できない、夜を楽しむ大人の空間。
ウェルカムドリンクのシャンパンをいただきながらチェックインの手続き。丁寧にホテルの利用説明をしてくれます。the barは18時から26時まで(25時半L.O.)。館内着でも利用できるので、温泉でリラックスしてからでもOK。
温泉は「spa kazan」と「spa hinoki」の2つ。さらに予約制・有料の「private
spa & bar」があります。浅間山や明星ヶ岳に包まれながら箱根の湯に溶ける。飲んでから沈むか。沈んでから飲むか。
天窓が印象的な「lounge」。18時から25時までアルコールやスナックを自由に楽しめます。
好きなものを好きなだけ。宿泊料金に含まれているので気兼ねなく。
ノンアルコールもあります。自分の好みで割って飲むのもよし。私はカクテルを飲みたかったので箱根のパノラマな山並みを楽しんだあと、1階のthe barに移動。loungeは翌朝のシャンパンブランチに取っておく。
【7:30PM】バー
日が落ちてきて、火が入った鉄紺の暖炉。庵治石と黒漆喰で作られていて、どっしりとした落ち着き。ソファで木の燃える音と香りを感じながらナイトキャップを楽しむ方も多いそう。私はチーク材のカウンターで夕暮れの変化を楽しみながら1杯目を選ぶことに。
フリーフローもthe barの魅力の一つ。barの飲み物が宿泊料金に含まれているので、好きなだけ楽しめます。別料金のお酒やフードも金額が明記してあるので安心。
barに行き慣れていない人も楽しめる工夫も。the barのメニューには「一輪の花」「心も身体も温まる」「映画とカクテル」「ジャズを聴くように」「夏の思い出」など気分に合わせて頼めるようにお酒が分類されています。バーテンダーに好みを伝えて作ってもらうのも楽しい。
定番のカクテルだけではなく、オリジナルのカクテルが飲めるのもうれしいところ。5周年を記念したカクテルが7種類あり、1杯目はおめで”鯛”カクテル「MEDETAI!」をチョイス。MEDETAI!を考えたバーテンダーの坂岬さんに作っていただきました。
「カクテル総選挙というイベントを社内で行っていて、そのために考えたカクテルです」(坂さん)
鯛に入ったフランボワーズと梅酒の赤いシロップを注いで完成。ほんのり香るのはなんと鰹節。和を感じる紅白でめでたい気分に。
「クアントロに鰹節を漬けて風味をつけています。鰹のたたきのサラダにオレンジなどのフルーツが入っていることからヒントをもらいました。鯛に入ったフランボワーズと梅酒はお好みで味変をお楽しみいただけます。今回のカクテルは試作回数も少なく、イメージ通りに完成しました」(坂さん)
カクテルを作る音と流れる所作が心地よい。
2杯目は「アニバサリオ!」。こちらも5周年記念のオリジナルカクテル。
「アニバサリオ!」を考えたバーテンダーの三露弘樹さんに作っていただきました。三露さんは箱根の老舗「富士屋ホテル」と「ザ・キャピタルホテル東急」にソムリエ、バーテンダーとして勤めた経験を持つ本格派。2年前にbar hotel 箱根香山に移りました。
「料理の本を見ていた時に黒七味とレーズンのデザートが載っていて、その組合せをカクテルにしたら面白そうだと思い、試してみました。ベストマッチのチョコレートとバナナ、それにレーズンと黒七味を加えました。ベースはアニバサリオというラム。ラムにはレーズンが合います。相性のいいもの同士を組合せました。甘口のデザートカクテルに、アクセントとして黒七味をピリッときかせました」(三露さん)
以前勤めていたホテルでは料飲の仕事がメインだったという三露さん。bar hotel 箱根香山で働く魅力について聞いてみました。
「ここではチェックイン・アウトの手続きや電話対応もします。いろいろなことに挑戦できるのが仕事の面白さの一つです。バーホテリエはバー以外でもお客様と接することができるので楽しいですね。お客様の一人ひとりのことが分かる規模も気に入っていますし、デザイナーが考えた、照明までこだわった唯一無二の空間で働けるのは心地よいです。一つのホテル中でチームで協力し合いながら、お客様に満足していただけるように工夫することにやりがいを感じています」(三露さん)
3杯目は9月のシーズナルカクテル「シャインマスカットと紫蘇のギムレット」。
シャインマスカットの爽やかな甘味に紫蘇の香りが奥行きを与えるカクテル。この時にしか飲めない贅沢。10月のシーズナルカクテルは「いちじく✕ズブロッカ コスモポリタン」。月ごとの新しいカクテルを楽しみにしている常連客も多いそう。
4杯目は「桝々のご愛顧」。
枡に愛のリキュールとスパイスを使用したカクテルを乗せた、5周年記念の特別なカクテルです。さっぱりとした甘さ。卵白でやわらかいテクスチャーを加え、スパイスの香りで引き締めているので、飽きが来る前に飲み干してしまいました。
フードも充実しているので、外で夕食を食べてくると後悔するかも。私のお勧めは「足柄牛 バーホテルオリジナルビーフカレー」。絶対に食べてほしい。季節に合わせてスパイスを変え、ご飯を炊く際にお酒を加えているそう。人気メニューの隠し味をこっそり聞いてみました。
「ライチシェリーとスイート・ベルモットを使ったカクテル『アドニス』のアルコールを飛ばして、最後の仕上げにカレーに混ぜています。ワインベースのリキュールのスイート・ベルモットでコクを出しています」(三露さん)
「3種のチーズアソート」。
チーズ好きには6種もお勧め。好みを聞いてくれるのでお酒に合わせて。他にもシャンパンドレッシングの生ハムサラダや足柄牛のローストビーフ、鴨の赤ワイン煮など一般的なbarでは出てこない、しっかりとした食事を楽しめます。
夜が更けてきて暖炉の火が大きく。ライトの色も変化。
潜り戸の先はお酒を持ち込めるスモーキングエリア。販売している葉巻も楽しめる。小さな扉が閉まるので、しっかり分煙されています。普段煙草を吸わない私がbarでにおいを感じることはありませんでした。
【10:30PM】バー~部屋
今回泊まる部屋はbarから10秒。暖炉のかおりを感じる距離感。
館内を彩るアートも楽しみの一つ。
暗めの館内は細部の明暗まで工夫されている。
鍵を合わせるとボトルが浮かぶ。
部屋の中にも軽食やお酒が用意されている。
仕事が捗るデスク。
寝るのがもったいないと思いながらすぐに眠ってしまった。もう一回バーに行こうと思っていたのに…。おやすみなさい。
【2日目・7:00AM】プライベートスパ
2日目の朝は「private spa & bar」から。そう、お酒を飲みながらプライベートな空間を楽しめます。「black」と「brown」があり、今回は御影石貼りのblackへ。
サウナも備えている。右手の水風呂とソファで整うもよし。
朝からシャンパンを楽しめる至福。野菜・フルーツ系のドリンクの用意もうれしい。安全のためガラス素材ではないグラスが用意されているところに気配りを感じます。
調度品も隙なし。この日は平日だったので部屋に戻り、9時からオンラインでミーティングを1件。Wi-Fiももちろん完備。そして10時にシャンパンブランチを食べに2階のloungeへ。
【10:00AM】シャンパンブランチ
シャンパンブランチは2階のloungeで。チェックインの時に決めた時間でゆったりと。
箱根の山を眺めながらブランチ。シャンパンやロゼ、もちろんノンアルコールもあります。
地元の生姜を使った自家製のジンジャーエール。お酒に入れて楽しめる、スパイスをきかせた八朔のコンフィ。季節に合わせて梅やりんごも使うそう。
好きなものを好きなだけ。こちらも宿泊料金に含まれています。
地元でとれた野菜を使った「季節の温野菜」
料理は地元の野菜を使いながら、お酒に合うように意識して作っているとのこと。ブランチなので、重くならないように考えているそうです。
「海鮮の蒸し焼き トマトソース」
「胡麻と鶏むね肉のスービーズ」
生ハムも自家製。
メインディッシュは「シェフのおまかせガレット」。フランス・ブルターニュ地方発祥の蕎麦粉とスモークサーモンのクレープ。パルメジャーノレッジャーノとトマト、ライムソースでさっぱりと。
山並みを眺めながらロゼ。Morning barをやっていると聞き、1階へ。
【11:30AM】モーニングバー
Morning barは朝10時から。チェックアウトの14時までまだまだのんびり。
Morning barで佐々木優萌さんにお話をお聞きしました。bar hotel 箱根香山を運営しているシマダグループに魅力を感じて入社したそうです。
「bar hotel 箱根香山にはいろいろなお客様がいらっしゃるので、常に新鮮な気持ちで働けます。箱根旅行を楽しむ方もいれば、一人でゆっくりと過ごすために訪れる方もいらっしゃいます。お一人ひとりの目的に合わせたサービスができることが、ここで働く魅力の一つです。シマダグループは他にもホテルを運営していて、それぞれコンセプトが違います。他のホテルに異動することもあるので、いろいろ経験ができると考えて入社しました」(佐々木さん)
出発までのちょっとした時間にお酒に漬けたコーヒー豆を使ったアイスコーヒーを出してくれた佐々木さん。サービスの仕事を楽しんでいることが伝わってきました。
カクテルを楽しんだ今回。次回は数百種類もあるウイスキーも楽しみたい。
【2:00PM】チェックアウト
チェックアウトし、光を浴びながら日常に少しずつ戻る。14時までのんびり。
滞在中にお世話になった副支配人の川野由利香さん。お見送りの際にbar hotel 箱根香山で働く魅力を聞いてみました。
「barでの接客や予約の対応などホテルのサービスを一通り経験できます。そのため予約時から宿泊当日までお客様と接することができ、2、3カ月のお付き合いになる方もいらっしゃいます。プロポーズや誕生日など大切な日を過ごしてくださる方も多く、予約をお受けしたお客様に私自身がお酒を出すこともあるので深いつながりを感じられます」(川野さん)
彫刻の森駅や彫刻の森美術館に送迎してくれます。シャンパンブランチを楽しむなら電車がお勧め。途中下車して箱根を味わいながら帰るのもいい。
箱根登山鉄道がゆっくりと現実世界に戻してくれる。
お酒に温泉、細部までこだわった館内。バーホテルという唯一無二のコンセプト。ついついそれらに目がいきますが、私がbar hotel 箱根香山で印象的だったのは、居心地の良さを支えるホテリエたちが楽しそうに働く姿です。最後に川野さんの言葉を紹介して今回の旅を締めたい。
「チャレンジが好きな方はbar hotel 箱根香山の仕事に向いていると思います。先入観なくおそれずにまずはやってみる姿勢でいると、アイディアがひらめいてお客様に喜んでいただけるサービスにつながります。シマダグループは唯一無二をつくることを大事にしています。私自身は今後、bar hotel 箱根香山を海外の方にも知っていただくことにチャレンジしたいです」(川野さん)
文・写真/谷村光二
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―谷村さん、bar hotel箱根香山へのご宿泊、また素敵なレポをありがとうございました。
いい時間を過ごしていただけたようで嬉しいです。
現実世界でお互い頑張りましょう。
特別な時間を過ごしたくなったときは、またいつでもご来館お待ちしております。-