はじめに
(気分爽快!元気100%!という奇跡のような職員も稀にいますけどね。)
当たり前ではありますが、この姿もおもてなしの一種だなと思ったことがあります。
水面下の“あれこれ”をお客様に感じさせないこと。
異動してみて思うのは、何気なく手に取っていたそのパンフレットの一枚の写真のために莫大な手間がかかっているということ。
お化粧や身支度しかり、“あれこれ“は本来人に見せるものではありません。
ビジョ部的には制作過程と言いましょうか。
完成されたものからは一切香ってこないけれど、それでも確かにあったはずの試行錯誤の痕跡。その面白さを知った今、いくつかご紹介できたらと思いこれを書いております。
今回のテーマは『各ホテルの宣材写真』。
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異動して3日目。
「これ、参考になるかもしれないから」
ナースコールの鳴らない、お昼時の静寂な弊社のフリースペース。まだ何も業務についていなかった私は、介護現場ではほとんど無かった“手持ち無沙汰の時間”に耐えられず、そわそわ、落ち着きません。とりあえず仕事している感でも出すかと、パンフレットをパラパラめくっておりました。
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半年ほど前、研修でパリに行く機会を頂きました。
私、残念ながら美術はさっぱり。でもせっかく芸術の都パリに行くのだから、ルーブル美術館を楽しむために知識があった方が面白そう!!と思い手に取った本がありました。
ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ルーベンス、
秋田麻早子『絵を見る技術 名画の構造を読み解く』2019年
ホテルのパンフレットを読み込むうちに、この宣材写真って
名画は○○を避けている
その一つが、角。
人間の眼は四角とか三角とかの形を一瞬で認識できますが、それは角が眼の注意を引きつける引力を持つから。ただ、視線が角に吸い寄せられていくと、そのまま画枠の外に出ていってしまいます。そこで、優れた絵は画面の角に引っ張られる視線を絵の中央に戻すために、角の引力をそぎ落としているものが多いのだと、この本を読んで知りました。
右:ジョン・コンスタブル『主教の庭から見たソールズベリー大聖堂』(1823年)
どちらも、主役となる中央部分を囲うような構図になっています。
葉山うみのホテルのトップ写真を見てみましょう。
○○が持つ印象を活かす
絵には「構造線」と呼ぶべき柱となる線があります。簡単に言えば、絵の芯。
縦は立っている感じ、横は寝ている感じ。斜めはその中間で動きのあるような印象をもたらします。
bar hotel箱根香山のthe barを違う角度から撮った写真で見比べてみましょう。
静謐で落ち着いた夜。耳を澄ませば千条の滝の音が遠くに聞こえてきそうなほど、空気がしんと澄んでいる気がしませんか。
このバーを斜めから撮ると、いかがでしょうか。
ホテルの写真は広さをしっかり写すために広角で斜めから撮ることが多いのだとO田さんに教わりました。
ただ、この場合はバーカウンターを真正面から撮った1枚目の写真の方が、bar hotel箱根香山の余韻が香り立ってくるように感じます。もしお近くにパンフレットがあれば、是非手に取ってご覧ください。
介護施設の見学であれば、入居前のお客様に施設の雰囲気を伝えることができますが