「ガラスびんアワード」とは
去る2025年3月18日。
日本ガラスびん協会が主催する業界最大級のイベント「第21回 ガラスびんアワード2025」において、シマダグループの吉川醸造株式会社が最優秀賞に輝きました!
ガラスびんアワードは、前年1年間に新発売されたガラスびんを対象に、デザイン性・機能性・環境性などの視点から審査し優れた商品を表彰する、権威ある賞です。一般の方には少々馴染みが薄いかもしれませんが、ガラスびん業界のほぼ全社が参加する、名誉ある賞。審査員長はリリー・フランキー氏です。
通常は大手のガラスびんメーカーが受賞するため、小規模の彼らが受賞したのは快挙!製造を担っていただいた日本精工硝子の社長は嬉しさのあまり涙(しているように見えた)……!
これが最優秀賞のビジュアルだ
総エントリー143件(210本)の中から最優秀賞に選ばれたのは、吉川醸造の蔵元である合頭義理社長がデザインしたガラスびん「雨降///あふり 酒界先導師」。革新的な設計と美しいフォルムが高く評価され、注目を集めました。
そのビジュアルがこちら!↓

ラベルデザインは、「dancyu2024年3月号」で表紙のイラストを担当した岡村亮太氏によるもの。雨降山の象徴である先導師と熊を表現しています。かっこいい!
ドアポケットに入る一升びんはなぜ生まれた?
この「雨降///あふり 酒界先導師」の画期的な点は、一升びんと同じ1.8L容量でありながら、冷蔵庫のドアポケットに収まるということ!
そもそも、どのような背景でこの商品が誕生したのでしょうか。
その鍵は受賞スピーチに潜んでいました。
授賞式会場は社内カメラ立ち入りNGだったので、合頭社長にコメントを再現してもらいました。
以下一部抜粋↓
“我々は神奈川県伊勢原市の日本酒の酒蔵で、雨が降ると書いて雨降という銘柄を中心に4年前から蔵の再建事業に取り組んでおります。
お客様から、なかなか個人ではお得であることがわかっている一升瓶を買えない、冷蔵庫に入らないし、横にしたら漏れるしね~というお話をいただいたものですから、じゃあ自分でデザインしてみようと思い立ちました。
イメージとしては冷蔵庫のポケットでキラキラ光って、お客様が夜な夜な開けるのが楽しみになるようなものを、と考えました。”
なるほど。お酒好きの方でも、一升びんを買うのはなかなかハードルの高いことなのですね。
お客様とのなにげない会話から商品のアイデアを得て形にする合頭社長の実行力、勉強になります。
合頭社長の「ガラス愛」
“私はもともと建築の設計をやっており、大量のガラス、建材用ガラスに触れておりました。
固体でありながら液体でもある、ガラスという素材を愛する気持ちはだれにも負けないと密かに思っております。”
建築用のCADで私がモデリングしたものを日本精工硝子さんに現実化していただいたのですが、建材ガラスとはまた違う繊細な世界、透明度の高いガラスをつくる秘密を学んできました。
ますます私の、ガラスへの異常な愛情が深まったと感じております。
お酒はSAKE BASEさんという若き、まだ20代の若者たちが経営する酒屋さんのオリジナルのお酒です。
地元伊勢原市の食米を室町時代の製法(水酛)でつくったにごり酒でして、ラベルの絵もタイトルの先導師も地元の歴史にちなんだ言葉です。”

その家で、ずっと活躍していく

冷蔵庫を開けるときらきら光る”芸術品”は、人々の日常に彩りを添えてくれそうです。
SDGsの観点からも、環境負荷の少ないガラスびんへの理解が今後さらに広がることを願っています。
※余談
授賞式で合頭社長はリリーフランキー氏の隣で、二日酔いだったが真面目にコメントしていたそう。