シマダのブンカの火を絶やさぬために。
そんなシマダグルーブにとって、これを悲劇と言わずして何というべきな事態が勃発しました。そう、ご存知2020年春から続く、コロナウィルスまん延によるパンデミック。俗に言うコロナ禍です。
海外に行けない、集まってはいけない、飲み会が何よりいけない。そんな国や都からの要請は、飲み会大好き!三密大好き!な社員らの士気をごっそり削いだのはもちろん、シマダグルーブがこれまで培ってきたことが、消えてなくなってしまう可能性だってあります。
「シマダのブンカの火を、ここで絶やしてはいけない!」と一念発起、新たな企画を打ち立てました。題して「ヨコイト」です。
各部門を超え、世代も役職もバラバラの10数人が編成。各チームには、50万円の予算が与えられます。選抜された(おもにマネージャー)グループ長が中心となり、みんなで何かを成し遂げるというもの。何をやってもいい、どこにどう予算を使ってもいい。すべては各チームへと自由に委ねられますが、ひとつ条件としたのは「シマダグループらしい、体温を上げるためのこと」を行うこと。
このとんち問答のようなテーマのもと、各チームが動いたのです。
「オンライン占い会」から
「子牛を飼う」まで。
チーム数は約20。それぞれメンバーの個性が発揮されます。まず「飲むことは大好き!」な社風ゆえ「オンライン飲み会をしよう!」となるチームが続出。中には同じマグカップをみんなで作って乾杯したり、同じものをお取り寄せして、食べながら占い(!)を受けたり。各チームなりの工夫を凝らしています。
さらに面白かったのは「ひとり2万円の予算内で、何か今までやったことがないことをし、体験談を持ち寄ろう」という企画。「キッザニアに行って子どもたちとともに、いろんな職業体験をする」から、はたまた「子牛を飼う」「流鏑馬をやってみる」まで。ここぞとばかりにエクストリームな体験をし、場は盛り上がりました。
躍動感のある流鏑馬姿!
ピンチがもたらした、新たなシナジー。
「このピンチを機に、グループのシナジーにもつながることを」と着想したのが「吉川醸造」とのコラボレーション。そう、2020年にシマダグループの一員となった、神奈川県伊勢原市の蔵元です。グループ長が杜氏に掛け合い、意見交換する中で「オリジナルの日本酒を作ろう!」とあいなりました。そこで杜氏から「せっかくなら、シマダライス(シマダグループの前身である米屋さん)の酒米で作りたい」となりまいた。さらに「せっかくならラベルもデザインしよう」「じゃあ、それだと予算や労力もかかるので、5〜6チーム合同の企画にしよう」と、どんどん発展。ヨコイトをきっかけに、いろんな縁の糸がつながり、織られていくのでした。
意図せず取りこぼされてしまっていた人に。
この試みのおかげで、新たな気づきもありました。それはおもに、飲食店やホテル、介護施設などで働くスタッフたち。彼らはシフト勤務のため、本社での勤務メンバーのように「一斉に休む」ということが困難。これまで海外への研修旅行やファミリーデーには「行きたくても行けない」という人が多くいました。が、ヨコイトではオンラインで行うことが多いため、参加のハードルが低く「これなら参加できる」という人も。
「飲み会をする」といっても、飲めない人も、飲みたくない人もいます。また「そもそも、あまり参加したくない」という人もいます。もちろん、やむを得ない事情や都合だってあるでしょう。そんなひとりひとりの人格や思い。これまで意図せずしてとりこぼれされてしまっていた人やものごとに、改めて気づくよい機会となったのです。