さあ準備開始
主催したのは仙川職員の岸本さん。
どうしてカフェを開こうと思ったのか、その質問に
「彼のように未来に希望を持ち続けてほしい、という願いがあったからです」と答えてくれました。
~今野晴雄様プロフィール~
今野さんは、ある高齢者施設の入居者でありながら、
グランジュール尾山台で月一回開催されるサロン活動にも参加し、
本格コーヒーを淹れるボランティアとして活躍しています。
75歳の時に認知症と診断された今野さんですが、そこからも進む道を自ら選び、
認知症予防リーダーの資格を取得しました。
彼のモットーは、
・「自分でできることは、できるうちに自分で」
・「余裕ができれば他人の世話を」
・「ボランティアは、やらせていただいているという意識が大切」
・「自分が社会に必要とされていると自信を持つ」
・「活動することが認知症克服の鍵」
これらを日々の生活に生かし、人々を楽しませることに心と時間を尽くしています。
コーヒーの淹れ方だけでなく、ワードでレジュメを作成したり、オカリナやハーモニカの演奏、
そば打ち、お菓子作りなど幅広い趣味を生かし、いろいろな場所で幅広い世代に感動を与えています。
スイーツ担当は渡邊さん。 パンプキンプディングや浮島などこの日のために準備を。
そのスイーツづくりに込める想いを聞いてみました。
「以前のカフェイベントでは、硬めのマフィンやショートブレッドが
一部の方にとって食べづらかった経験から、今回はじっくりと考えました。
コーヒーと共にゆっくり味わっていただける、しっとりとした食感がキーポイント。」
そう感じた渡邊さん。
選び抜かれたのは、口どけの良いカボチャのプリン、カステラを思わせるやわらかな浮島、
そしてさっぱりとしたアクセントのチーズケーキ。
これらのスイーツは、コーヒーの芳醇な香りにぴったり合い、
それぞれが冬のお茶席のような穏やかな時間を彩ります。
そして、何よりも彼が大切にしたのは「地味」であること。
画面映えする派手さではなく、意図的に素朴さを選びました。
この地味さが、今野さんの淹れるコーヒーと、
そのコーヒーを楽しむ参加者の皆様にしっかりと向き合う時間を作り出します。
目立たないが故に、本当の豊かさを感じることができる―彼がスイーツに込めた想いです。
本格コーヒーと手作りスイーツには関わった人の想いがぎっしり込められています。
オカリナ、コーヒー、そして犬
今野さんのオカリナで合唱するのは冬の代表曲
「冬景色」「雪の降る街を」など4曲を皆で歌います。
コーヒーの豆知識や豆の選び方なども熱心に語る姿に参加者の皆様も耳を傾けます。
このイベントにはセラピー犬のパルも参加し、その姿は癒しの時間を演出。おいしいコーヒーとお菓子だけでなく、パルの存在も参加者に小さな喜びとともに、特別な時間をもたらしました。
「私より歳の上の方が頑張っているんだ。へこたれていられないね。」
「私も頑張らないとね。」「コーヒーが本当においしかった。」
「いつもデイで頂いているコーヒーよりずっと美味しい(笑)」
終了間際そんな声が聞こえてきました。
生き方は伝播する
イベント後、岸本さんが語ったのは「とても充実した時間だった。
特に心に残るのは、2名の参加者です。一人は最近まで寝たきり状態だったお客様が、
この日は車椅子で会場に姿を見せ、「おいしい」と感激の一言を漏らしました。
もう一人の方は、普段はデイで静養が多いのですが、
「夢のような時間だった」と心から楽しんでいらっしゃったこと。
12月11日には95回目の誕生日を迎えた今野さん。
彼はただのボランティアではなく、多くの人に希望を与え自分の限界を決めず、
前向きに生きる彼の姿は、私たちに大切なことを教えてくれました。
今後もシマダグループは、このようなイベントを通じて、
たくさんの方が希望を持ち続けられるよう努めてまいります。
そして、今野さんのように、年齢を超えてチャレンジし続ける生き方を応援していきます。
いい時間(とき)をつくる
シマダリビングパートナーズ