「頑張る」の語源
―努力は裏切らない―
その言葉のもと、ひたすらに頑張っている人は多いのではないでしょうか。
頑張るという言葉の語源は諸説ありますが、
「我を張る」から来ていて、自分を押し通すようなニュアンスがあります。
本来、どうにもならない時に無理をするような。
もともと本来持っていなければいけない基礎知識や体力がない時に「頑張る」必要があります。
ただ、頑張ってできるほど世の中は甘くありません。
頑張っているときには、
本来のいい状態が迎えられなくて緊張します。
アドレナリンが出て、視野が狭まり、冷静でいられない。
例えば、ゴルフで頑張れば頑張るほどスコアが乱れるといいます。
そんな経験はないでしょうか?
それにも関わらず、
①頑張っているオーラを出す、
②頑張っていることに酔いしれる、
③更には『自分が頑張っているんだからお前も頑張れ』と言わんばかりに、周囲に頑張ることを強要する、
そんな人がいませんか。(とくに昭和世代)
果たしてこれは効果的なのでしょうか。
きっと答えはNO。
自分の本来の力以上を出そうとして頑張っている状態は、リスクの現れです。
誰しも、頑張りすぎると疲れてしまいます。
そんな時は、頑張らずに、今の持っている力でベストを出すことを考えるとうまくいく確率UP!
普段の練習が足りない事や、知識、知力、体力が足りないのだと自覚して、集中し、楽しみ、ベストを尽くす。
そのように切り替えてみてはいかがでしょうか。
「頑張る」Vs.「楽しむ」
頑張らずにどうすればよいのか。
最も有効だと考えられるのは「楽しむ」ことです。
「才のある人も、努力をする人には勝てない。いくら努力をしている人も、楽しんでいる人には勝てない。」
(知之者不如好之者、好之者不如樂之者)
という、孔子の言葉があります。
頑張っているというより楽しい。
緊張しているのではなくて楽しい。
ゾーンに入っているという言葉で表現されることもありますが、そんな状態が理想です。
楽しみ夢中になっている時には、おのずとそういう結果が出てきます。
頑張る状態がずっとは続かないので、
持っているものの中で、何ができるかに切り替え楽しむ必要がありますね。
子供は楽しい事に集中している。大人になるとそんな機会は少なくなります。
何かに夢中になることを忘れない。
本来皆楽しむ才能を持っていますが、大人になると使えなくなってしまうようです。
筆者が調べた楽しむことによって困難を乗り越えた例としては…
≪ケース①:遭難してもゲームのように楽しんで生き残った話≫
ペルー・アンデス山脈のシウラ・グランデ峰で遭難したジョー・シンプソン。
絶体絶命の中、ジョーがたった一人で(足を骨折しながらも)生き抜いた方法、それが「この状況をゲームに見立てる」というものでした。
目標物を設定し、「二〇分であの氷河までいけるだろうか?」などと設定しては、その通りクリアすることを自分に課し、ゲームに夢中になりました。
そして、ゲームをクリアすることを繰り返しているうち、彼はベースキャンプにたどり着き、命拾いすることができたとのこと。
参照サイト:識学総研
≪ケース②:財政的には苦しくても夢中になって危機を乗り越えた話≫
某S社は30年近く前、事業を引き継いだ際には債務超過の状態で世の中は失われた30年のスタート。
財政的には最悪だったが、未来に向けてミッションを決め考えているときは楽しかった。
人事部長、営業、銀行の窓口、経理、総務、、様々な役割を夢中で担いその危機を脱した。
≪ケース③:コロナ禍でも楽しみを見出して乗り切れた人の話≫
コロナ禍でも外出ができないなか、その状態を楽しめたかどうかが明暗を分けたケースは多かったのではないでしょうか。
在宅でできる新たな趣味やビジネスを見つけた人。
笑うことで、ナチュラルキラー細胞が活性化して免疫力が高まるという研究結果もあるそうですね。
笑う=楽しむことにはそんな効果も期待できそうです。
地力があるからこそできる
地力があるからできる、それが本来の理想の姿です。普段からしっかりとした基礎知識や体力をつけ、冷静に、リラックスした状態で取り組むことが大切です。普段の練習、学び、体力作りがこういった「地力」を作ります。
そしてこの過程を楽しむことが、実は一番の近道なのです。
その身に降りかかるピンチ。
不本意な部署異動、失業、病気、災害、株価の暴落などなど、、コントロール外の予期せぬ出来事も、日頃の備えや知識があれば、いざというときに状況を楽しめる可能性がUPしますね。
P/PCバランス
地力を育み、頑張らずに楽しむヒントになるのがP/PCバランスという考え方です。
スティーブン・R・コヴィー博士の「7つの習慣」(*)に出てくる概念ですが、P/PCはそれぞれ
P…Performance(成果や結果)
PC…Performance Capability(目標達成能力)
を表しています。
(*)シマダグループでは、7つの習慣のインハウスの研修を行っており一定年次になると希望者は福利厚生として受講ができるようになります。
精魂つめて仕事をし、成果を出すことに集中すること(Performance)も大事ですが、定期的に自分の能力を高めるための時間や適度な休息(Performance Capability)はより仕事の質を高めることにつながります。
筆者も十数年前に「7つの習慣」の研修を受講しましたが、この例を説明するのに金の卵を産むガチョウの話がありました。
農夫が飼っていたガチョウがある日、金の卵を産みます。
そこから毎日一個ずつ、ガチョウは金の卵を産むようになるのですが、欲が出た農夫はガチョウのお腹を開いてより多くの金の卵を取り出そうとします。
しかし、ガチョウのお腹の中は空っぽで、結果的に金の卵を生み出す手段を失ってしまったという話です。
『能力を超えて成果を求める=頑張る』はPに比重が行き過ぎてPCとのバランスが取れていない状態をさしているのではないでしょうか。
がむしゃらに成果を追い求めず、成果を出すための資源、能力、状態を見つめ直す。
妄想癖がある筆者は、この農夫がガチョウが金の卵を産む状態を楽しめていたら…と考えてしまいます。
楽しくガチョウのお世話をしていたなら、餌や鶏舎を工夫して、お散歩したり(?)ガチョウが暮らしやすい環境を自然と整えられたのでは。
その結果ガチョウは一日に産める金の卵が増えたかもしれないし、プラチナ卵を産めるようになったかもしれない。
一緒に飼っていた他のガチョウも金の卵を産めるようになったかもしれない…!
研修ではそんな話はなかったですがw、楽しむことにそんな可能性を感じました。
参照サイト(外部のページに遷移します):https://www.franklinplanner.jp/c_fpl/selfstudy/ss-07.html
蝶が空を飛ぶ(メタモルフォーゼする)ためには。
シマダグループでは社風を表すコンセプトブック(絵本)があります。
タイトルのMetamorphose(メタモルフォーゼ)は、芋虫が蝶になる「(生物学上の)変態」を意味しています。
生まれたばかりの芋虫に、潜在的にはその能力があっても『頑張って空を飛べ、頑張って今すぐ羽を生やせ』は無理がありますね。
また、さなぎの時期もすごく大事で、その時期にゆすると飛べなくなります。
さなぎの状態は、外から見たらじっとしていて何も変化はないですが、内部では確実に大きな変化が起こっていています。
空を飛べるPC(能力)が備わるまで見守る必要がありますよね。
新たな役割を与えられた時、それが大きなチャレンジであるほど、さなぎの時間は大切にしなければならないのではないでしょうか。
「頑張って」、まとめました
ここまでのお話、自身の感想も織り交ぜながら、頑張って楽しく書かせていただきました。
昭和生まれの筆者にとって、「頑張れ」「頑張ります」はもはや口癖。
あらゆる応援で反射的に頑張ってね!と言っています。
全体会議以前にも「頑張らなくていい、工夫をしよう」というメッセージをもらったことがありますが、なかなか難しいものでした。
全体会議での発信をもとに、各部署・各プロジェクトで話題になることは多々あり。
今回の「頑張りすぎない」の話は特に話題になりました。
寄せられた感想の一例:
・「頑張りをまわりに強要してしまう古いタイプ」にあてはまっていたんだなと気づいた。
・「頑張るか、頑張らないか?」という次元の話は気持ちに余裕がある人の話だなぁ。
・「頑張る」は英語に訳せないふわっとした言葉で違和感があったのでスッキリした。
・(「頑張る」という言葉の意味についての参考文献を共有し、)他の言葉で言い換えてみるのはどうか?
・・・頑張ります!
・もっと頑張った方がいいですよw(会議の中のネタ)
様々な職種・年齢・出身地のメンバーが集まって同じ話を聞いた後のディスカッションは、間違いなく楽しかったです!
シマ報を通じて、当社が「頑張っている会社」、よりも「楽しんでいる会社」だと感じてもらえたら嬉しいです。