突然の異動辞令
2020年、介護事業部で施設の入居者の方に車いすや介護ベッドのレンタル業務に就いていた。第2子出産のため産休・育休を取得。その後、次男の保育園も無事に決まった。復帰を一か月後に控えた保育園の入園式の日に1本の電話が鳴った。
介護事業部の上司からだった。
「お疲れさま。いま大丈夫?」
お昼を食べようとレストランに入ったタイミングだったが、急いで静かな場所に移動した。電話の内容は「新しく立ち上げた不動産部門のジャストフィット事業部に異動してくれないか。」という話しだった。
産休と育休あわせて2年のブランク。会社の状況もわからず「ジャストフィット事業部」ってなに?と頭の中が「??」だらけだった。それなのに気がついたら「はい。わかりました。」と返事をして、電話を切ってしまった。正にパニック状態だった。
2人の子供がいて、上の子は幼稚園、下の子は保育園と別々の場所に送り迎え、時短勤務。男性社員が多い事業部でこんな時短ママがやっていけるのだろうか。
不安しかなかった。
新しい上司とは?
夫にすぐ話しをしたが当然ながら驚いていた。環境的にも両親を頼ることができない。自分たちでやりくりしなければならないため、生活がどう変わるのか想像もつかなかった。夫も自分の役割分担が増えるのではないかと不安になっているように見えた。
そうは言っても「わかりました」と言ったからには不安を払拭しようと、まずは「ジャストフィット」について調べてみた。「ジャストフィット」とは、不動産小口化商品。簡単に言うと一棟ものの不動産を複数人で所有する商品ということらしい。
次に調べたのが「ジャストフィット」事業部の部長について。仲の良い同僚に探りの電話を入れてみた。同僚と話をした結果、さらに不安が募った。
どうやら部長は「怖い」らしい。
どう怖いのかが分からなかったので不安は増すばかり。
復帰前面談の日。
意外にも部長は穏やかに、私の家庭事情に耳を傾けてくれた。
それだけで少し安心した。
部長はちょっと変わり者
そうして迎えた職場復帰。
前情報とは裏腹に部長は怖くなかった。当然ながら仕事には厳しく、間違えると怒られる。でも、それはどんな人でも当たり前だと思う。
だんだんと日が経つにつれて怖いよりも気になったのはちょっと変わっていること。部長はお昼休憩を取ることが少ない。お昼は大量のミックスナッツを食べ続けているか、キャベツの千切りを食べている。食へのこだわりはなく、とにかくお腹が満たされればそれで良いらしい。
デスクはとてもきれいで常に何もないのに、引き出しからは大量の空ペットボトルが出てくるところもまた不可思議。
口癖は「俺って天才だからさ」
確かに部長は切れ者。すごく頭の回転が速い。
しかし、自分で自分のことを褒める人はそうそうないのでは。
ある時、部長のシャツがとても素敵だったので「今日のシャツとても素敵ですね」と言ったら「これユニクロだよ。育ちが良いから着てるものも良く見えるんだよねー。」と、言われて大爆笑してしまった。
職場復帰して一年
ちょっと変わり者の部長は、とてもお子さん想い。お子さんのお弁当の日には前日から下絵まで描いてキャラ弁を作る。
子どもがいる大変さを共有できるから、我が子が熱をだして急に休んだり早退しなければならない時も部長は決して嫌な顔をせず「大丈夫だから気にしないでお大事に。」と、言ってくれる。この言葉が働くママにとってすごく安心材料になる。
復帰に伴う部署異動に、最初は不安しかなかったが、今は仕事がすごく楽しい。
新しい部署だからこそ、いろんなことが初めてなので大変さもあるが同時にやりがいも感じる。ママだからって仕事の幅を広げられないのは悔しい。もちろん時間に制限はあるが、その中でいろんなことにチャレンジできる今の環境が私にとても合っている。
復帰から1年経った。
「ちょっとした勇気」で得られた環境に感謝している。
最後に。
実はこのシマ報の記事を書いていたら部長に
「そんな時間があったら“宅建”の勉強をしろ」
と怒られてしまいました。
部長に怒られつつ、今年はシマダの基本免許といわれている“宅建”の取得に向けて頑張っています!
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