2023.04.11

記憶と感情の間で
~僕が介護職として歩んだ時間~

今回ご紹介するのは入社3年目を迎えた福田雄大さん。就職活動の際には「介護」という職種を全く考えていなかったという。2021年4月という、介護現場にとって最も難しい時期(コロナ禍)に入社した彼が、過ごし向き合った時間とは。

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~僕が介護職として歩んだ時間~
Summary
  1. 介護に良い印象も、悪い印象もなかった
  2. 他人の介助という現実に感じたこと
  3. 同じ日なんて1日もない

介護に良い印象も、悪い印象もなかった

「正直頭真っ白でしたね。」

 

大学で学んだ地方行政学。地域の役に立ちたいと思い志した地方公務員への道が絶たれた瞬間。

 

これからどうしようかな。。

 

大学4年生、夏も終わりに近づいていたそんな時期。他の職種を全く考えてなく、イチから始めた就職活動。自身を見つめ、自己分析を改めてしてみたところ想いはひとつ。

「何より人の役に立ちたい。」

 

 

そんな中、エージェントから紹介されたのがシマダリビングパートナーズ。

介護ならもっと大手の会社がありますよね?

 

 

「もともと介護という職種に興味もなく、先入観や固定観念もありませんでした。悪い印象も良い印象もなかったのが率直な感想です。シマダリビングパートナーズは介護だけじゃない会社と紹介され、シマダグループは会社として旅行や酒蔵・飲食とかもあり、他業種と連携したサービスを提供できるなど幅が広く面白そうだなと。」

 

グループに様々な業態があり、将来的には介護だけではなく選択肢が色々広いというのも興味がわいた。

 

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入社してまずは介護職員初任者研修を受講。

実際に車いすにのったり、老人用のおむつをはいたまま1日過ごしたりと研修は様々で、座学と実技で「技術としての介護」を学んだ。

 

見るもの聞くもの全て新しいものばかり。

6月まで研修、7月からOJT、9月からは独り立ち。

 

入社して5ヶ月で独り立ちですか。随分早いような気がしますが。

「いえ、僕の感覚だととても丁寧に研修をしてもらい、周りの皆さんに色々な事を教えていただきました。だから独り立ちが待ち遠しかったですよ。」

他人の介助という現実に感じたこと

『介護』を広辞苑で検索してみると

「高齢者・病人などを介助し、日常生活を助けること。」

 

 

 

他人の排泄・食事・入浴介助。正直抵抗はなかったですか?

「うーん、そんな暇なかったですね。抵抗とか考えたことないですよ。最初は覚える事が多くて、こういうもんだなと。そのまま慣れてしまったというのが本音です。」

 

一昔前の介護は「なんでもしてあげる」という考え方だった。

でも今は「すこしでも自分でできる事を増やしていく」

残存機能を活かすいわゆる『過剰介護』ではなく『自立支援』という形だ。

 

毎日の食事介助の中でも「ただ食べさせる」だけではなく

「ちょっとずつでも自分で食べれるように手助けをする」

入居者のできる事が少しずつ増えることが一番嬉しい瞬間だと福田さんは言う。

 

 

初めて入居者さんを看取った時は衝撃だった。

 

今まで人生の中で人の生死に関わったことがなく昨日まで笑いかけてくれた人がもういない。自分の気持ちは沈んでいるけど、他の方もいるのでそれを出してもいけない。かといってゼロにしてもいけない。介護職としては避けて通れない難しさにも直面した。

 

認知症患者の方はその時覚えていても一時間後は忘れていることもある。

 

毎日の挨拶が「はじめまして」なんてことも。ただ、記憶に障害があっても介助する中で『この人は良いことをしてくれているいい人だ』と、なんとなく印象には残っている。「はじめまして」ではなく「この前はありがとうね」と言ってくれる時もある。

 

障がいがあるだけで、完全に忘れてしまっているわけではない。

ヒトは記憶に障がいがあっても、感情は残ることをこの仕事をして初めて知った。

 

同じ日なんて1日もない

 

相手は人なので、元気な日もあれば、落ち込んでいる日もある。

そもそも介護する人によって全然反応が違う。しんどいことはゼロではないけれど、楽しいことが多い。日々入居者と接していて笑顔になってもらえるだけで嬉しい。

 

介護職を志す人は「人の役に立ちたい」「人に喜んでもらいたい」という動機をもって入社する人達が多い。でもそれって「やりがい搾取」になっていないだろうか。そんな意地悪な質問をしてみると。

 

「人の役には立ちたいけれど、決してそればかりではありません。入社時、将来的には旅行とか不動産とか考えていましたが2年経験して介護の奥深さを感じとても「働きがい」があります。今は現場でいろいろな事を覚えながら、将来的には施設の責任者として運営マネジメント等に携わっていきたいです。」

 

高齢者にとって残された時間。自身が介護職として過ごす時間。

同じ日なんて1日もない。忙しい、けれど充実した日々。

そんな毎日を過ごしながら彼は今日も「良いことをしてくれるいい人」でありつづける。

 

 

 

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福田さん 実は入社時、同期は女性8名で男性は福田さんだけだった。

 

「皆さんに『いいな~』『羨ましい』とか言われてたんですけど、大変でした。。同期はみんな優しかったんですけど、そうはいっても。。ねえ、そこはほら、、、馴染むように本当に頑張りましたよ!!」

 

少しはにかむような笑顔でそう話してくれた。

彼はきっと老若男女、誰に対しても「良いことしてくれるいい人」なんだろうなと。

 

 

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