施術から1週間後の別れ
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「訪問美容」というサービスをご存じですか。
美容室に通うことが難しい高齢者や障がいのある方などを対象に、美容師が自宅や施設に出向いて施術を行うサービスです。
シマダグループの介護事業部であるシマダリビングパートナーズ(以下、SLP)では「訪問美容・ひばりサロン」のサービスを2021年に始めました。運営する介護施設を美容師が訪れ、お客様の髪をカットしたりカラー、パーマをしたりネイルケアも施したりします。
「終末期の女性のカラーをしたことが忘れられません。」
そう語るのは、ひばりサロンの立ち上げを行った高橋尚志さん。

「その方は、いつもカラーをして、身なりをきれいに整えている方でした。でも体調が悪くなり入院し、3カ月施術ができず、退院されると根元がかなり伸び白髪が目立つ状態でした。そのため、ご本人は『どうしてもカラーがしたい』とおっしゃったんです。常に酸素ボンベを使用しなくてはならない状況で、カラーの際にボンベを外すと、体調が悪化してしまう可能性もありました。そこで、入居施設の職員にも協力してもらい、試行錯誤の末、染めることができました。とても喜んでいらっしゃいましたね。そして、その1週間後に亡くなられました。」
「言い表せないような感情が湧きます。でも、普通の美容室では、なかなかできないですよね。その方の最期の髪型を任せていただけるというのは……。」
新しい風
2026年2月、「ひばりサロン」に、2人目の社員・堀川彩乃さんが入社しました。堀川さんは美容学校を卒業後3年間美容室で働き、その後、ブライダル業界で15年間勤務。自分が本当にやりたいことを見つめ直した際、「祖母の髪を切りたい」というかつての目標を思い出し、訪問美容にチャレンジすることを決意しました。
「『訪問美容なんて、みんな同じ髪型だよ』と周囲の人から言われていました。でも、どうしても『美容室と同じサービスがしたい』と思って求人を探していたところ、「ひばりサロン」を見つけたんです。高橋さんとお客様の笑顔の写真が、とても素敵な印象でした。そして、私が求めていた、お客様の要望を大切にする姿勢を知り『ここで働きたい!』と思ったんです。」

堀川さんがいつも担当するお客様。施術の終盤は安心して、気持ちよく就寝
これまで施術した写真の一覧を見せてもらうと、明るいブラウンのメッシュや黒髪ロング、クリクリとしたかわいらしいパーマなど、個性豊かな写真が並びます。

在庫管理のことを考えるとカラー剤の種類を増やさない方が効率的です。しかし、「ひばりサロン」では何十種類もカラー剤は用意し、ヘアマニキュアやヘナカラーなど、施術方法も選べるようにしています。

ひばりサロンの夢
春を告げる鳥「ひばり」は、お客様にいつも明るく健やかに過ごしていただきたいという想いを込めたSLPのシンボルです。これから「ひばりサロン」はどのように羽ばたいていくのか、高橋さんに伺いました。
「訪問美容ならではの難しさは、やはり常にあります。高齢のお客様は、筋力が低下して姿勢を保つことが難しく、いすに座ることが困難だったり、認知症によって感情の起伏が大きくなったりすることもあります。
そんなときこそ、SLPの強みが生きています。施設の職員とも密に連携できるため、お客様の状況を詳しく確認できます。また、スタッフはSLPが運営する「ひばりの学校」で、「介護職員初任者研修」を必ず受講します。訪問美容を行うために、介護資格の取得は必須ではありません。しかし、車いすから施術用のいすに移動する際も、必要に応じて私たちが介助できます。お客様に快適に過ごしていただけるだけでなく、安心して施術を受けていただくことや、信頼関係の構築にもつながります。
これからも、一人ひとりの『こうしたい』に応え続け、オンリーワンの訪問美容を目指します。」

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【stand.fm「#52 人生最期の美容室」】
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